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サイエンスカフェ(海鳥回)

更新日:2021年10月29日

2019年6月15日(土)サイエンスカフェ「まだわかっていないこと - 海の研究 -」


東京大学農学部にて開催しました.


第1回サイエンスカフェ・マナティーのブログはこちらから


第2回サイエンスカフェ・海鳥のブログはこちらから


第3回サイエンスカフェ・ウミガメのブログはこちらから


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第5回サイエンスカフェ・さかなのブログはこちらから


 

今回は「オオミズナギドリの帰巣行動について」です.

国立極地研究所で海鳥の行動研究をしている塩見さんに講師として登壇していただきました.



出かけたら帰ってくる


この帰巣行動については分かっていないことがたくさんあります.


私たちは地図を持ち,時計を持ちます.


スマホなどのアプリを使えば,到着時刻から逆算して,何時に家を出れば時間通りに目的地に着くか,簡単に分かります.


そうしたことを海鳥たちは自分自身でコントロールしているわけです.


しかも移動距離は数百キロメートルを超えることも.


数泊して移動しないといけなかったり,悪天候のときもあったり,天敵に襲われたりもします.



前回と同様に,オオミズナギドリの帰巣行動の謎について紹介,


参加者のみなさんにグループディスカッションをしていただき,アイディアを発表してもらいました.


今回の ディスカッション・テーマはこちらです!

テーマ1.オオミズナギドリはなぜ遠くで餌取りをするのだろうか?


テーマ2-1.彼らは何をきっかけに帰ろうとするのか


テーマ2-2.どうして時間通りに帰れるのか?




グループディスカッションで出たアイディアの一例を紹介します


テーマ1.オオミズナギドリはなぜ遠くで餌取りをするのだろうか?

アイディア|魚群や魚を追いかけているうちに,遠くまで行ってしまったのではないか


もともと遠くを目指して飛んでいくのではなく,いつの間にか遠くに行っている


そうした可能性について紹介してくれるグループが多かったと思います.



テーマ2-1.彼らは何をきっかけに帰ろうとするのか


アイディア| 自分の体重(胃袋の状態)が帰るかどうかの判断基準になっている


自分と雛のためのエサが十分取れたら帰るきっかけになるのでは,ということです.


餌取りから帰ってきたオオミズナギドリの体重を測定するのは難しいため,どのくらい魚を獲ってくるか分かっていません.


今後の調査によって,この辺りは明らかにされるかもしれません.



塩見さんから補足情報もありました.


エサの量が増えると体重が増えます.


そうすると,長距離移動が大変になってしまう.


エサの量と移動コスト,このエネルギー配分も重要なテーマです,と教えてくれました.


たくさんエサを取るだけじゃなく,帰りの距離を考えて,ちょうどいい餌の量にとどめておくことが必要なのですね.


私たちも,遠出した時は重いものを買わないようにしますよね.持ち帰ることを考えてセーブすると思います.





テーマ2-2.どうして時間通りに帰れるのか?


アイディア|羽ばたき回数(や疲れ具合)で距離をカウントして,自分のいる場所を把握している.それで決まった時間に帰るための調節ができるのではないか.


時間通りに帰るためには,自分が目的地からどれくらい離れているか分かっていないといけません.


海鳥はそれを羽ばたき回数で理解している,だから時間通りに帰る調節ができるのかも,というアイディアです.


ここで塩見さんより補足情報がありました


「アリは歩数で距離をはかっている」と紹介している論文があるそうです.


また,これまでの研究で


一部の海鳥では、磁場がわからなくても帰巣できた


地磁気はナビゲーションに必須ではないのでは


という報告が増えているそうです!



ミズナギドリ類は臭覚が非常に優れているため,


匂いで場所を把握している可能性もある



私たち人間にはなかなか想像できません!


海底地形に応じてプラクトンなどが分布していて,それらが発する化学物質のマップがあるのではないか.

こうした物質を感知して位置を把握している可能性がある,のだそうです.



オオミズナギドリの回では,塩見さんによる補足説明で,たくさんの情報を教えていただきました.


あいにくの雨の中,会場までお越しくださった参加者の皆さま,本当にありがとうございました!難しいテーマにも関わらず,たくさんのアイディアを出していただき,とても嬉しく思います.


講師として登壇してくださった塩見さん,本当にありがとうございました!



 


2019年7月25日(木)より,夏休みの小学生向けワークショップを開始します!


「本物の博士といっしょに研究しよう!」海の生き物編


研究ってどんなことをするんだろう?

プロの科学者から海の生き物の研究を教わってみませんか?

そして自分で考える学び,研究をしませんか?​

当団体には小学生の教育に詳しいメンバーがおり,低学年・高学年それぞれに適した学びが準備されています.


開催場所は地球環境パートナーシッププラザ(表参道駅より徒歩),または東京海洋大学品川キャンパス(品川駅より徒歩)です.


7/25(木)

ウミガメ博士をインタビューしよう!

(講師:楢崎友子,東京大学大気海洋研究所)

8/6(火)

マナティーの行動を音で調べる方法を教わろう!

- 計画を立ててお家で実験,結果を送ると博士からコメントが -

(講師:菊池夢美,京都大学野生動物研究センター)

8/9(金)

深海生物に名前をつけてみよう!

(講師:小糸智子,日本大学)


8/11(日)

クジラの形をよく見てみよう!

- 観察とクジラ骨格標本の見学 -

(講師:中村玄,東京海洋大学)


8/23(金)

マッコウクジラの行動をしらべる方法!

- 実際の調査機材を体験しよう -

(講師:青木かがり,東京大学大気海洋研究所)


詳しくはこちらよりご確認ください!


皆様のご参加お待ちしています!


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