(親子ではじめての鳥さんぽブログのつづきです)
「まずは、スズメを探してみよう」
こんな一言でいつもの散歩ではなくなります。
公園の入り口に立つ、新緑の眩しい大きな木。
通勤ならば足早に通り過ぎるだろうし、散歩だってそれほど注目しないでしょう。
ところが、双眼鏡で鳥を見つけるという目的が伴うだけで、その一本の木周辺に大人も子どもも、20分程も時間をかけました。
双眼鏡をぶら下げるだけで、意識が変わるだけで、いつもの風景の見え方が変わるのだと思います。
大きな木にいたのはスズメよりも大きくて、頭の毛がふわっと広がっているのがよく分かります。ヒヨドリです。
双眼鏡は楽しい。
決して簡単にレンズの中に鳥を収めることができないのですが、一度レンズで捕捉できると、鳥たちのいきいきとした表情や可愛らしい動きがよく分かります。
もうしばらく待っていると、すばしっこい小さな鳥が、枝に止まりました。
緑っぽい色をしています。
メジロです。
「メジロの舌は筆のようになっているんだよ」と荻本氏。
花の蜜を吸いやすいように、筆の穂先のようになっているんだって。
子どもたちもみんなでスマホの画面を覗き込みました。
まだ10mぐらいしか進んでいないのに、このたくさんの気づき。
こんなにも変わるものなんですね。
何かを学ぶと、物の見え方が変わると言いますが、それをこんなにも感じられる体験を企画できるなんて、本当に今日は素敵な日です。
100mくらい先の三角橋付近まで30分ぐらいかけて進んでくると、ドバトが三角部分にたくさんとまっています。
こちらは、子どもたちも見慣れているからか、あまり関心を示さないですね。
それよりも、三角橋から鳥山川の川下の方向を見ると、背の高い鳥が川面を覗き込んでいます。
コサギです。
水の中にいる生き物をついばむために、くちばしを川底に向けて止まっていました。
2匹のハクセキレイが、川原の舗装された土手の上を仲良く歩いています。
荻本氏は、鳥たちのオスとメスの違いをも教えてくれました。
白と黒の色がはっきりしているのはオス、少しぼんやりしているのがメスだそうです。
追いかけるように仲良く走り回るつがいのハクセキレイは、コミカルな動きで転がるようにコンクリートの土手を走り回っています。
鳥なのに、走るのが速すぎます。
長い間、ハクセキレイを追うように、双眼鏡を右に左に振り動かしていました。
今まで、野鳥を見ても、オスメスの違いなどまったく関心がなかったのに、この数時間で野鳥への見方が劇的に変わってきているのが自分でも分かりました。
満開の桜と、忙しいというオバケ
双眼鏡に写真の機能がついていたら、よかったのに。
でも、写真に撮ってしまうと、偶然に出会った喜びが薄れてしまい、記憶に残らなくなるかもしれません。
鳥たちとの一期一会の出会いを存分に楽しみながら、鳥山川を鶴見川の合流点の方向へとゆっくりと散歩していきます。
桜が満開です。
ヒヨドリが桜の蜜を吸うために、度々私たちの頭上の枝に止まりました。
メジロも数匹で遊んでいます。
先生たちの年度末は、本当に忙しく、休みを意識的に取らないと、桜を見上げる暇もありません。
学校の綺麗な桜も、気づけば葉ばかりが青々しく茂っていて、「忙しい」というオバケに時間を奪われてしまっているような状態です。
今年は、そのお化けから時間を少し守ることができて、こんなにも美しい桜を家族で見上げることができました。
子どもたちも新しいお友達と遊んだりお弁当を食べたりと、楽しげです。
春の到来をやっと感じて、心がほっとするような感覚になりました。
こんな春風と桜の香り、そして、仲良く遊ぶ子どもたち(枝を振り回すので、注意をしますが…)、素敵なガイドの荻本氏とのおしゃべり、この上ない贅沢な時間です。
やっぱり、「春のための時間」を意図的に用意できてよかったと思いました。
つづきます
-->ペーパークラフトから見える、生き物の個性、子どもたちの個性
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