社)マナティー研究所の菊池夢美です.
ブラジル滞在17日目となりました!
明日の夜に帰国予定.
本当に,あっという間の日々でした.
現地レポートをたくさんアップしたかったのですが,こちらのマナティーで今回の現地レポートは最後となります.
写真は,ブラジルのマナウスという街にある国立アマゾン研究所の入り口です.
研究所は大きな森の中にあります.ここの入り口から中は一般公開していて「ボスケダシエンシア,科学の森」と呼ばれています.
そしてこれは,「科学の森」の地図です!
ほとんど何もない!?
たしかに,施設の数は少ないのですが,森の中を散策して,野生生物を観察することができます.
ナマケモノ,アグーチという小型の動物,サルや鳥などが自由に暮らしています.
運が良ければ,彼らに出会うことができるんです.
目を凝らして探して見てください!
会えるか会えないかは,みなさんの観察眼と根性次第です.
「科学の森」の門を入って左に歩いて行くと,すぐに大きな水槽が見えます.
こちらが,保護されているアマゾンマナティーの飼育水槽です.
3つの大きな水槽がありますが,透明な水質を維持できているのは1つだけです.
ここにいるマナティーのほとんどが,アマゾン川から保護されてきた個体です.
マナティーを食べるための違法な密漁が未だに行われていて,子連れの母親が美味しいという迷信のせいで,お母さんを失った赤ちゃんマナティーがたくさん保護されています.
2014年からは,私たちの研究プロジェクトで,マナティーを再びアマゾン川へ戻すための「野生復帰事業」が開始しました.
保護された赤ちゃんたちは,離乳したらできるだけすぐに川沿いの湖へと放流されます.
そこで,アマゾン川に近い環境(半野生環境)でリハビリをして,川への放流に備えています.
これまでに,19頭のマナティーがアマゾン川に放流されて,調査の結果,無事が確認されています.
アマゾンマナティーの特徴は,小柄な体,黒いツルツルの皮膚,そしてお腹にある白い斑紋です.
お腹の白い模様は,一頭ずつちがっています.
そして,他のマナティー種とはちがって,非常に臆病な性質なので,人間に近寄ることはありません.
アマゾン川は水質が濁っているし,アマゾン川で人間を避ける野生のマナティーをみることは不可能!と言われています.
「マナティーってどんな性質?」と聞かれても,「種によって違いますが...」と前置きをしないと,一括りに説明できないんですね.
ウェストインディアンマナティー,アフリカマナティー,アマゾンマナティー,たった3種しか分類されていませんが,それでも種ごとに行動や性質が違います.
それは,生息域の特徴を影響していると思います.
こうした3種のマナティーについて,日本で初めて詳しい解説を作っているところです.
e-learningの「マナティー学入門」
https://www.youtube.com/watch?v=tf1caEhwkqM&feature=youtu.be
予告編が見られます!
プロによる素晴らしい動画とBGMとなっておりますので,ぜひご覧ください!
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