報告者:冨田明広
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菊池さんとメールのやり取りが始まりました。
私と菊池さんは幾度となくメールの交換をし、お互いの思いを交換していきました。菊池さんの思い、教師として私が伝えたいこと、子ども達が追究したいこと。
そのやり取りの中で、私が学習材として価値があると感じたのは、マナティーの生育環境を破壊している一つの原因となっている、熱帯雨林の伐採についてでした。
マナウスに到着する直前、機内から見た熱帯雨林は見渡す限りの緑ではなく、その緑の絨毯を裁ち鋏でまっすぐ切り取ったように、直線的な四角の形に伐採され、まるでパッチワークの模様のように眼下に広がっていました。
それは決して美しくない巨大なパッチワーク。
巨人が芝生を引き剥がしたようにも見えます。
前々から熱帯雨林の伐採については情報を得ていましたが、自分の目でその人工的に切り取られた後の煙の立ち上がる現場を見ると、リアルな現場に来たのだと、身のすくむような思いがしました。
菊池さんとのやり取りと、私の調べたところによると
熱帯雨林の伐採の目的は、まずは木材、そして、その跡地を牧草地にして畜産をしたり、大豆の生産を行ったりしているようです。
とくに大豆の生産量は、アメリカとブラジルが肩を並べていて、世界の大豆消費を賄っています。(参考資料「WWF report 2014. 拡大する大豆栽培 影響と解決策」)
日本は世界の中でも大豆の消費量が多いのですが、生産量は全く追い付いておらず、ブラジルから毎年大量に大豆を輸入しています。その大豆を私たちが使っています。
熱帯雨林の伐採で被害を受けているマナティーをはじめとした野性動物がいる一方で、恩恵を受けている人間は、消費者である私たちということになります。
子どもたちと一緒に熱帯雨林の伐採について考えることに価値があるのではないかと構想していきました。
知らず知らずのうちに熱帯雨林の大木を切り倒すチェーンソーに手を添えていたり、逃げ惑う動物たちをよそに熱帯雨林に火を放つことに協力している私たち。そんな私達の生活に気づけるか、気づいた後の感情をどうするか、子どもたちはきっと成長できるように思いました。
その案内人を菊池さんにお願いしようというアイデアです。
熱帯雨林の野性動物の最前線に立つ菊池さん。
つぶさに熱帯雨林を見てきているからこそ、発せられる言葉に力が宿り、その言葉に子どもたちは動かされるはずです。
マナティーというかわいい動物もよく知ることができます。そして、海外で活躍する研究者に憧れを持つ子どもも多い。
菊池さんは、子ども達を熱帯雨林に連れ出してくれるナビゲーターにぴったりの人でした。
ここから、マナティー研究者である「菊池博士」が誕生しました。
菊池さんも最初は「そんな呼び方は…」と謙遜されていましたが、子ども達の知的好奇心を満たすナビゲーターは、マナティー研究者菊池博士の方がかっこいい!!
そして、3年生と菊池博士のダイアローグがゆっくりと動き始めていきます。
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